結露の話① 結露とアトピー
奥様方が気になる話はたくさんありますよね
ところで毎年必ずと言っていいほどに話題になるのが、
「アパートのお隣のお宅が黒カビだらけなの」
というもの。
よくよく聞くと、冬場の結露がひどくて、北側の玄関のドアまで、ビタビタなのです。
「今日、お隣の奥さんから聞かれたのよ。何で同じ建物で隣同士なのに、うちは結
露がひどくて、玄関までもうビタビタなのに、牧村さんのところは全然濡れていない
のって」
「ふ~ん、言ってあげればいいじゃん。FF式のファンヒーター(開放式石油ストーブ)
が悪の元凶だって」
「そんなの、去年話したわよ。でも全然聞く耳持たないもの」
「あれ、だってお隣お子さんアトピーと喘息でしょ。それって、自分で傷口に塩塗り
つけているようなものじゃない。お子さんかわいそうだな~。知らないって怖いよね~」
こんな会話が行われるのです。 写真は我が家の除湿器です。活躍しています。
冬場や梅雨時に窓ガラスやサッシをビタビタにする水滴。あれが結露ですね。結露は、健康や建物の寿命にも実は大きな
影響を与えます。 あの水滴、イヤですよね
少し我慢していただいて(我慢してくださいね。でも原理が分からないとこの先の話が続かないので…)
簡単な結露発生のメカニズムを話しますと、
空気中には水分(水が気体の状態でですね)を含むことが出来ます。通常、空気はいくらかの水分を含んでいるんで
すね。ですから、「湿り空気」と言うのが正しいのです。これに対して、全く湿り気を持たない空気を「乾き空気」とよびま
す。空気が水分を含まない状態など一般的にはあり得ない話で、人工的に乾燥させて作り出した状態ですね。
さて、どれくらい空気中に水分を含めるかというと、同じ量の空気なら温度が高くなるにつれて、含むことの出来る水
分の量が多くなります。
たとえば、1キログラムの空気(空気にも重さがあるんですよ)があった場合、20℃で、3㌘の水分を含めるとすると、
この空気の温度だけを30℃まで上げてあげると5㌘の水分を含めると言った感じですね。
機械を使って、空気中の水分量は計測することが出来るのですが、このとき実際に1キログラムの空気にどれだけ
の水分を含んでいるかを「絶対湿度」といいます
今、仮に計測して2㌘だったとすると、絶対湿度は2(g/㎏)といえます。
この辺で、もう難しくなってしまいましたか…もう少しです
さて、仮に計測時の空気の温度が20℃だったとします。20℃のときは最大3㌘の水分を含めるとすれば
2÷3×100 はだいたい61%ですね。このとき「相対湿度」は61%といいます。一般に湿度と言っているの
はこの「相対湿度」の事なのですね。
(学生のみなさんへ。ここに書いた数値は簡単なたとえです。実際は湿り空気線図というグラフから読みとります。)
相対湿度が60%と言うことは、空気中にあと40%分水分を含むことが出来ると言うことになります。
だから相対湿度が低ければ、洗濯物の水分が空気中に放出されやすくなり、洗濯物がよく乾くのですね
ところで、冬場は相対湿度が一般的に低くなります。そうすると、洗濯物も乾きやすくなりますが、今度は人間
の体の水分が空気中に蒸発しやすくなります。人間の体から水分が蒸発しやすいのは粘膜です。目やのどなん
ですね。
のどの粘膜が乾燥すると細菌感染しやすくなります。そう、冬場に風邪を引きやすくなるのはこのためです。
だから、風邪を引くとお医者さんから、部屋の空気を乾燥させないでくださいと言われたことはありませんか。
さらに、室内の相対湿度が70~80%を超えてくると、非常にダニが繁殖しやすくなります。特に、畳の上
にカーペットを敷くと、畳の水分が放出されなくなります。畳には水分を含んだり、放出してくたりの若干の湿度
の調湿効果があるんですね。これが仇になってしまいます。ここにダニが非常に発生しやすくなります。
実は我が息子。生まれた当初ひどいアトピーでした。ある小児科の先生からここに書いたご指摘を受け、カーペッ
トを撤去したら、アトピーはだいぶ良くなりました。その後水泳等行い、今では本当にこいつアトピーだったっけと言う
感じです。喘息も持っていまして、救急車で運ばれる発作も起こしましたがでも今では全く平気になりました(これに
は本当に驚かされます。風邪も引かなくなりましたし。スポーツって偉大です)
話を戻します。つまり、相対湿度は高すぎても低すぎてもいけないのですね。最適な湿度は40~60%
ぐらいですかね。若干の個人差もありますし。夏場、熱くても湿度が低いと過ごしやすいのは、発汗作用
によって、体温を下げる調整がなされるからなのです。もちろん風(気流)の影響も大なんですけど。冒頭
の会話文の中に書いた、開放型石油式ファンヒーター(要は、煙突を持たない石油ストーブです)は1時間
燃焼させると、ペットボトル一本分の水分を室内に放出します。相対湿度が上昇するのは当然なんですね。
空気中に3㌘の水分を含めるとして、もし4グラムの水分があったとしたらどうでしょう。差し引き1㌘の水分
が、水滴の状態となって出現してくるのですね。これが「結露」です。冬の室内は暖房によって20℃の温度
になっていたとしても、窓のガラスやサッシは外気に触れていますから、大変冷たく外気に近い温度になっ
ています。この部分に室内の空気が接すると、急激に冷やされて、空気中に含むことの出来る水分の量が
減ってしまい、ガラス面等に水滴が生じるのです。
我が家は、十年近く、冬場の暖房はエアコンやハロゲンヒーター、ホットカーペットによる電気暖房機器です。
電気代より結露の害の方が怖いためそうしてきました。浴室と台所等の水回りを除くと、部屋の窓ガラスは結露
しますがそれほどひどい状況ではありません。
最近は灯油が高いですから、電気の方がやすくなったのかなと笑っています。
すみません、今回の話しだいぶ難しいですね。でも結露をさせないポイントをまとめると
①とにかく必要以上に室内の水分を発生させない
これは使用暖房機器やコンロ等の改善ですぐに直せます
②効率的な換気を行う
水分が発生しても、換気で外に排出すればいいんです
③建物の断熱性能改善
つまり露点温度(結露が発生する温度のことです。詳しくは次回ご説明します)以下の箇所を建物内に
造らないよう断熱設計・施工する
顕著なのは、サッシ周りですね。
ただしこの部分は、落とし穴があります。それは次回話します。
アトピーや喘息のお子さんがいる家庭で、開放型ファンヒーターを使用しているのは、例えるなら
「火災にガソリンをかけて消化させようとしているようなものです」
実は、こうした設計のご相談多かったものですから。
結露の話は次回も続きます…
2008年10月26日 Posted bysetura at 09:24 │Comments(2) │建築概論
家の作りに遭わせて、暖房設備も選ばないとね!
敷地が広くて、寒い地域なら、薪ボイラーの床暖房なんてのもいいかもよ。
http://www.kyowa.e-arc.jp/eco/voice.html
屋根の融雪に使うなら、灯油より安上がりだと思うけど・・・
薪ボイラーの床暖は、オンドル見たいなものだね。面白いかも…。