シャーロック・ホームズ

  










 昨日の一葉から、だいぶ飛んで、今朝は「シャーロック・ホームズ」から…。こちらも、大ファンです。
 小学生から高校生まで、推理小説にはまりましたからface05face05
 小学生の頃に読み始め、高校生の頃に、NHK教育テレビの「シャーロック・ホームズの冒険」
に夢中になり、未だに、ビデオを観ている僕の定番。ジュレミー・ブレッド演ずるホームズが
個性的でいいですね。ホームズのおもしろさは、その観察眼の鋭さと分析力にありますよね。
そして、徹底した経験主義
「太陽の下に、新しいものは何もなく、歴史は繰り返すので 、1000の事件を理解しておけば、
1001番目の事件を解決できないはずはない」 えんぴつ
 有名なホームズの言葉ですね。なんだか、今でも仕事に使えそうですね。
 僕は「マスグレーヴ家の儀式書」がホームズの初期に手がけた事件としては好きなんですね。
プロフェッショナルとしてなら、この事件が最初の事件。学生時代の事件なら「グロリアスコット号」
の事件
がありますからね。

 マスグレーヴでは宝探しの暗号解読がポイントになります。face08icon10星

ーそは誰のものなりしか?ーすでに死せる人のものなり。
ー誰のものになるべきか?ー来るべきひとのものに。
ー太陽はいずこにありしや?ー樫の木の上に。
ー影はいずこにありしや?ーにれの木の下に。
ーいかに歩みしや?ー北に十歩、また十歩。東へ五歩、また五歩。南へ二歩、また二歩。 
  西へ一歩、また一歩。そして下に。
ー我らそのために何を与えるや?ー我らのすべてのものを。
ーなにゆえにそれを与えるか?ー信義のゆえに。


 ホームズは現場でこの暗号を解読し、三角測量を応用して見事地下室にたどり着つきます。
そこには、死んでいる執事ブラントンを発見します。実はこの場所には1649年にクロムウェル
に処刑されたチャールズ一世の王冠が隠されていたのですね。その後、女中レイチェルによっ
て持ち去られた王冠の破片を池の中から発見します。icon12キラキラ

 暗号解読事件としては別に、「踊る人形」もあり、こちらもホームズは論理的に暗号解読して
いきます。こちらも僕のお気に入りの一本です。
「ブラック・ピーター」「金縁の鼻眼鏡」「第二の血痕」「サセックスの吸血鬼」「ソア・ブリッジ」
「隠居した絵具屋」「赤毛連盟」
等々、ホームズの論理的思考をもって解決していく事件が好き
ですね。

 今朝も、大好きな「ソア・ブリッジ」の事件を読んでいました。
 ホームズか゛お好きな方は是非、河村幹夫著 講談社現代新書「シャーロック・ホーム
ズの履歴書」
をご一読されることをおすすめします。面白いですよ。face02face02










 

  


2008年10月18日 Posted by setura at 09:57Comments(0)小説ばなし

一葉に恋して

 樋口 一葉 日本の女性小説家の先駆けの代名詞ですよね。
 私、大好きです。icon06
 学生時代に、彼女の作品は読みましたが、平田禿木という文学界の創始メン
バーが、私のご先祖に当たることから、最近 ここ4~5年再びはまっています。 
 写真の一葉の本。なんとダイソーで100円face08
 大つごもり ゆく雲 十三夜 にごりえ たけくらべ 5作品が書かれて100円
 惜しくもなんとも無いので、常にカバンの中に放り込んで有ります。いい時代
ですね。


 一葉は、平田禿木の紹介で星野天地に認められ、入谷竜泉時代にその多くの著作を文学界に発表しましたが、日の
目を浴びたときには既に結核に侵されており、短い生涯を閉じることになります。彼女が軍医森鴎外に出会ったときは
既に手のつけられない状態であったといいます。(24歳で亡くなっちゃうんですよ)face10

  彼女の著作の作風は、居を構えていた入谷竜泉、旧名新吉原で生活を目の当たりにしていた遊女たちの悲哀を描い
ています。よく、日本発の女性小説家といいますが、実際は中島歌子の和歌の姉弟子、田辺花圃の影響をうけて小説家
を目指しています。

 一葉というと「たけくらべ」が有名ですが、僕は「にごりえ」のお力が好きなんです。icon06icon06
 「たけくらべ」の美登利と「にごりえ」のお力、2人とも吉原の女性。美登利は遊女、お力は酌婦という名の娼婦。
 「たけくらべ」が人の成長をとらえているのに対し、にごりえは落ちた女性の悲哀を描いていますね。
 一葉の作品からは一葉の生きていた世界そのものが描かれています。!!
 一葉の小説の師である中来桃水との、ロマンスや情事がささやかれていますが、事実がどうであったかはさておきま
して、結果的に破局しており、その思いが小説の中に描かれていますね。icon07

 「にごりえ」は最後、二人で亡くなってしまうのに対し、「たけくらべ」は美登利と信如がそれぞれの道に旅立っていきま
よね。書かれた順番としてはたけくらべが先で、にごりえが直ぐ後。その直ぐ後が「十三夜」が書かれました。十三夜
阿関(おせき)もいいですね。いつの時代も、嫁・姑の確執があるということで…。僕以外の家族が大好きな「渡る世
間は鬼ばかり」
の明治版ですかね。icon25icon10

 100年たっても色あせない、一葉の世界は、まさに至高ですね。小説を書いたのが19才、たけくらべは23才。大つ
ごもりが24歳。わずか5年の間に、一作一作毎に、テーマに重みが出ています。漱石もそうでしたね。もともと、「我輩
は猫である」
は、持病の神経衰弱の治療のために書き出したのですから。しかし、その後職業作家となって、名作を執
筆していくうちに、やはり身体を壊してしまいますよね。テーマも次第に人間の心の葛藤を書いていますもの。face09えんぴつ
 これって、つらかったと思うんです。それにつけ、一葉も同様に書くことで、人間の内面に踏み込んでいけたのでしょ
うね
小説書くのって深いな~とあらためて思います。face07icon10マル秘           


2008年10月17日 Posted by setura at 18:45Comments(0)小説ばなし

禿木をたずねて



 創作の原点②で、父方の祖母の伯父が平田禿木[とくぼく]という明治の文学者であることを書きました。下記の文章は4年前に禿木のお墓がある両国へぶらりと散歩したときの様子を、ある会報に寄稿したエッセイです。 face02

   写真は左上から 両国回向院、禿木のお墓、隅田川からアサヒビールを望む、浅草浅草寺、左下 旧樋口一葉記念館 
     

  5月24日から6月4日に相模原市にある職業能力総合開発大学校での研修の中日の土曜日に禿木の足跡を訪ねてみようと、かねてよりの計画を実行。【研修の予習もせずにせっせとこっちの予習をしていた奴がいる】 8時45分に能開大前から橋本駅へ。苦手な電車の乗り換えにもメゲズ、目指すは両国。長い散歩の始まりである。両国駅より徒歩5分で回向院に着く。両国では由緒のあるお寺だそうで、ここに禿木のお墓がある。平田家の墓と並んで禿木の墓があった。しっかりとご先祖様を拝んでくる。両国から隅田川沿いに40分ほど歩く。水が汚く「春のうららの…」とはとても言いがたい。おまけに浮浪者の素敵なお住まいが永遠とつづき…がっかり。 金の泡【う○この方が有名?】で有名なアサヒビールの建物を目印に橋を渡れば、そこは浅草。神谷バーで「電気ブラウンで一杯」の誘惑に駆られながらも強い意志で通り過ぎ、浅草浅草寺の雷門に。しばらくプラプラと出店を見ながら参拝。研修からの無事帰還を祈る。女房殿に頼まれた浅草キティを探して回ると、ちょうど昼時。花やしきよりすぐの小路で牛すじの煮込み丼を生ビールで流し込む。うまい! 昼のビールは最高なり。周囲には馬券を握りテレビで競馬中継を見る電気ブラウン片手の素敵なおじ様達【耳に赤鉛筆】。
ほろ酔い気分で竜泉に。しかし歩けどたどりつかず。するとようやく道の両側に怪しげな呼び込み姿のお兄様方の姿が。そう,「たけくらべ」の舞台となった下谷竜泉は昔の吉原跡地。【1675年 振袖火事の後日本橋葭原よりこの地に移り新吉原と呼ばれる】そのためか今でも個室付浴場【ソープランドのこと】のメッカ。あるわあるわ郡山では信じられない景色。新たな誘惑にも負けずに目指す台東区立樋口一葉記念館は、そんな花街の通りを挟んであった。まずいんでないのこれは教育上と真剣に思いつつ、一葉が住んでいたからしょうがない。 一葉が文學会に掲載されるようになったのは、明治25年11月「都の花」95号から3回にわたって掲載された「うもれ木」を目にした禿木が感動し、文學界編集責任者であった星野天地に勧め【禿木は文學界創刊メンバーの一人】一葉の和歌の姉弟子であった女流作家三宅花圃を通じて文學界に一葉の寄稿を依頼したため。その後、一葉は文學界誌上で「雪の日」「琴の音」「花ごもり」「暗夜」「大つごもり」そして傑作といわれる「たけくらべ」を発表。 一葉は24才で亡くなってしまう生涯……天才は長生きできないのか? そう言えばモーツァルト・滝廉太郎もそうだった。良かった凡人で。実はこのことをホームページで知り、昨年から禿木にまつわる調べ物をしていた僕は、今回何か禿木にまつわるものはないかと記念館を訪れたしだい。するとなんと若き日の禿木の写真があった。そこには、若き島崎藤村の姿も見ることが出来きた。研修後、実家の祖母に写真を見せたところ、非常に懐かしがっていた。「藤村はタバコが好きで訪ねてくるといつも部屋が真っ白だったよ」が祖母の口癖。 竜泉の記念館から国道4号線を歩いて、上野の国立西洋美術館へ。コルビジェの設計した建物を堪能しつつ、企画展の古代ローマ彫刻展といつもの常設展を楽しむ。時間がなくて東京都美術館での栄光のオランダ・フランドル絵画展が見られなかったのか゛心残り。悔しさを紛らわすため、その後アメ横をほっつき歩く。日本酒で天丼なんざかっくらい【おっと、べらんめぃ】 ほろ酔い気分で橋本へ。本日の歩行距離十数キロ。次の日が寝て曜日だったのは言うまでも無い。
 今回、これを機会に禿木・藤村・一葉の作品をもう一度読んで明治浪漫主義の世界を知り、来年又散策したいと思ったしだい。【個人的にはホームズと谷崎がやっぱり好きだけど】 しばらくは今回見てきた竜泉の景色に一葉の文章からの想像を重ねて思いをはせよう。
      ホームズはソアブリッジの事件で言っているではないか

              「大切なのは想像と現実の融合なのだよ ワトソン君!」 


「文學界」の同人たち       
 後列左から   島崎藤村・馬場孤蝶・平田禿木
 前列左から 上田柳村・星野天知・戸川秋骨・星野夕影  


2008年09月24日 Posted by setura at 08:40Comments(0)小説ばなし